タイトル

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症例4 再生療法の治療例

初診時

年齢 60代 性別 女性
主訴 口腔内の精査を希望

20代前半のころから歯科に通院して治療を受けており、上顎前歯部の補綴治療は30代の頃に受けた。
40代後半で右上の奥歯を虫歯のため抜歯した。


歯ぐきからの出血はその当時から自覚はしていたが、しばらくすると落ち着くためそのままにしていた。

2008年春頃に他院にて虫歯が原因で左上奥歯の抜歯を行ったが、その後、治療に不安を覚えて当院へ来院した。

治療計画

1. 歯周基本治療:炎症、外傷性因子の除去

1) 歯周病検査
2) 口腔清掃指導
3) 抜歯
4) 不適合補綴物除去、暫間被覆ブリッジによる連結固定と外傷性咬合の改善
5) スケーリング・ルートプレーニング(SRP)

2. 歯周病検査(再評価)

3. 歯周外科治療

4. 歯周病検査(再評価)

5. 口腔機能回復治療

6. ナイトガード作製

7. サポーティブペリオドンタルセラピー(SPT)

歯周外科手術の種類とその術式選択の目的

1.エナメルマトリックスタンパク質(EMD)を用いた歯周組織再生療法
2.フラップ手術:明視下におけるデブライドメントと、歯槽骨の生理的形態付与

口腔内写真

初診時

メインテナンス時

咬合面

初診時

メインテナンス時

Ⅹ線写真

初診時

メインテナンス時

歯周外科手術時

右上のフラップ手術 

術前 術中 術後

 

術前 メンテナンス時

 

歯周外科手術時

右下:EMDを用いた歯周組織再生療法  

術前 術中 術後

 

術前 メンテナンス時

 

歯周外科手術時

左下:EMDを用いた歯周組織再生療法  

術前 術中 術後

 

術前 メンテナンス時

 

歯周外科手術時

上の前歯:フラップ手術

術前 術中 術後

 

術前 メンテナンス時

 

術前 術中 術後

 

術前 メンテナンス時

 

歯周外科手術時

左上:フラップ手術 

術前 術中 術後

 

術前 メンテナンス時

 

歯周外科手術時

左下:フラップ手術

術前 術中 術後

 

術前 メンテナンス時

歯周外科手術時

右下:歯肉弁根尖側移動術

術前 術中 術後

 

術前 メンテナンス時

 

再生療法における術後のリスクは、移植した自家骨または、人工骨が歯肉の縫合の裂開により感染することがあります。

 

治療後の状態

歯周治療および口腔機能回復治療後、再評価を行い、2010年にSPTに移行したが、
2014年に右下奥歯に根面齲蝕を認めたため、歯周外科処置と補綴治療を行った。

 

しかし、他部位についても失活歯や補綴部位は多く、齲蝕のリスクは依然高い状態である。

今後も良好なプラークコントロールを維持するだけでなく、患者の生活習慣についても配慮し、
定期的にフッ素塗布を行い、齲蝕の再発防止に努める必要がある。


また上顎は残存歯が少なく、左側は大臼歯が欠損した状態であるが、
2010年1月の再評価時に暫間被覆ブリッジの安定を認めたため、最終補綴処置を行った。

ナイトガードは欠かさず使用しているとのことだが、破折等のリスクは今後の懸念事項である。


左下の奥歯には歯周外科時に明視下で3壁性の骨欠損を確認し、再生療法を行った。

SPT時に歯周ポケットの改善と、デンタルエックス線写真上で歯槽硬線の明瞭化を認める。


左上前歯の根尖透過像については現在、症状を認めないため経過をみているが、症状が認められたり、
透過像が大きくなったりしたら、歯根端切除を行うことで患者の同意を得ている。

メインテナンス時の問題点とその対応

患者は初診時よりプラークコントロールが不良であり、歯周病だけでなくカリエスリスクの高さが危惧された。

初期治療期間にプラークコントロールの向上に努めると同時に生活習慣、特に食習慣についても患者とともに見直しを行った。

 

現在、高いモチベーションを維持し、良好なプラークコントロールを確立しているが、
上顎には全歯にわたるクロスアーチブリッジを装着しているため、SPT毎に咬合のチェックを行っている。

宮田歯科クリニック
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